先日のKathryn Templeton先生のトークセッション「心理学とアーユルヴェーダで読み解く女性のLIFE」には参加者から多くの質問がありました。
あまりにも多くてほぼ答えられなかったことを気にしていたKethryn先生。
特別に時間を作ってお話をしてくれました。
それぞれの質問は重なる部分あるのでこちらでまとめてお伺いしています。
あなたの質問の答えもあるかもしれませんよ。
Kathryn Templetonプロフィール
MA, RDT/MT/LPC, E-500 RYT, C-IAYT
生涯を他者の健康に捧げてきた統合医療の専門家。
30年間の心理療法士として、不安・うつ・複雑性トラウマ治療を専門とし、ドラマセラピーのマスターティーチャーとして臨床と教育の両分野で活動。
認定ヨガセラピスト、NAMA登録アーユルヴェーダ実践者、シニアParaYogaティーチャーとして、ヨガ・アーユルヴェーダ・臨床心理学の原理を統合した専門治療法を開発。
ヒマラヤ研究所教員、ヒマラヤ研究所アーユルヴェーダヨガスペシャリストプログラム(HIAYS)、トーチベアラーメンターシッププログラム、AYS大学院、「Three Wisdom Traditions」プログラム創設者。人間発達・一般心理学非常勤教授、Yoga International寄稿者・教育者、Banyan Botanicals公式アンバサダー。
Q.取り入れた方が良いレメディーやスパイスはありますか?
台所にあるものがケアに役立つ
アーユルヴェーダは日常で食べるものをレメディとして使いましょうということを重視しています。
すべての食に6つの味を取り入れることを大事にしています。
私たちの健康を支えるためには主にスパイス、つまり台所のレメディですね。
そしてスパイスを薬として取り入れるということなんです。
詳しくは9月の講座でお伝えするとして、今、この飲んでいるお茶について話しましょう。
今日は、実は私の住んでいるエリアは少し肌寒いんです。なので今、私はこのお茶を飲んでいます。
私自身は更年期の症状として冷えという症状が出てくるんです。私が今飲んでいるものはお茶です。
このお茶はCCFと頭文字を取って略して呼んでいるお茶なんですが、スパイスとしてクミンとコリアンダーとフェンネルが入っているんです。
アーユルヴェーダの伝統的なお茶ですが消化促進として飲んでます。これは全員に対して飲める良いお茶なんですよ。こんな感じで台所にあるものがケアに役立つのです。
Q.更年期のアーユルヴェーダのオイルマッサージについて教えてください
ディナチャリア(ルーティーン)が自分を守ってくれる
オイルマッサージ、、、これについてもとても深くて広い話になるので私のことを少し話しますね。
私は、ゴマ油+シッタヴァリのオイルケアをします。
シッタヴァリは女性のホルモンにはとてもよいサポートになるハーブです。
特に私のような体質の方にはおすすめです。
でも逆に、熱・ほてりの傾向があるピッタ体質の方には別のお茶やオイルケアがあるんです。
女性のホルモン移行期にはセルフのオイルマッサージはとても有効的ですが体質や状況に合わせた選択が非常に重要になります。
この辺りは9月の講座でも詳しくお話ししたいと思っています。
オイルマッサージはフィジカルにも良い影響がありますし、更年期の女性の精神面にとってもポジティブなものです。
自分で自分の体を触ることで自己愛が育まれます。老いていくことに人は抗いたくなるものです。
しかし抗っても老いは避けられません。
それよりも自分の体を愛し、いたわることを日々実践することが更年期のメンタルケアには大切なのです。
歳を重ねるたびにディナチャリア(ルーティーン)が自分を守ってくれると実感しています。
早寝早起き・優しいヨガや循環を促す運動・瞑想・オイルマッサージ・水分補給・・当たり前ですが一つ一つ繰り返すことが役に立っていると実感しています。
Q.優しいヨガとおっしゃいましたがヨガや運動の変化はありましたか?
ヨガのやり方は年齢やホルモンに合わせて変化させていくこと
はい。私はもともとピッタ体質です。
ピッタ体質なので全てにおいて全力で、ヨガも競争的になりがちでした。
しかし更年期になって関節炎が手に出始め、その後右肩や膝にも症状が広がったため、今はヨガをするときには必ずプロップを使い、優しい動きをするようにしています。
そしてウォームアップをゆっくりと時間をかけて行うようにしているんです。
ヨガは100%おすすめできますが、ヨガのやり方は年齢やホルモンに合わせて変化させていくことが大事なのです。
昔はランニングもしていましたが今は走りません。
走ろうと思えば走れるのですが、体を痛めやすくなっているので無理に走ることはありません。
骨粗鬆症の前段階である骨減少を抑えるために軽いウェイトを持ったり、ミニトランポリンをしています。
道具を用意するのはお金もかかりますしスペースも必要なのでできる範囲で行うことがおすすめです。
今は代謝のバランスを整えるため、できるだけ朝に運動するのが個人的に合っているので心がけています。
運動についても時間が許せば講座で皆さんと話し合いたいと思っています。
Q.更年期の精神的な症状にはどう対処すればいいですか?
私たちの自然な回復力(レジリエンス)が消耗
まず知っておいていただきたいのは、更年期は自然な移行期だということです。
これまで体が妊娠・出産にエネルギーを使っていましたが、もうその必要がなくなったということは、そのエネルギーを他のことに向けられるということなんです。
35歳以降、きちんとセルフケアをしてきた方—禁煙を心がけ、化学物質を避け、運動をし、良質な食事を取り、十分な休息を取ってきた方—であれば、更年期の移行もそれほど困難ではありません。
しかし現実的には、人生には様々なストレスがあります。
病気、人間関係、仕事のストレスなど。その長年のストレスによって、私たちの自然な回復力(レジリエンス)が消耗してしまうのです。
消耗し切ったところに体が思った通りに動かなければ、精神にも大きな影響が及びます。
「変化への抵抗」が心理症状をより困難にしている
私のセラピーにも更年期の女性が抑うつ、アイデンティティの喪失、不安感を抱えて相談に来るケースが本当に多いんです。
「以前はできていたことが同じようにできない」「自分が自分でなくなったような感覚」を訴える方がたくさんいらっしゃいます。
アメリカでは多くの人がボトックスやフェイスリフトで老化に抵抗していますが、実はこの「変化への抵抗」が心理症状をより困難にしているんです。
人々は以前できていたことが同じようにできなくなることへの強い抵抗感を持っています。
ここで大切なのは、エストロゲンはセロトニンとともに気分安定剤の役割も果たしているということです。
ホルモンの変化が気分に影響するのは生物学的に当然のことなのです。
でも、これらの症状はいずれ通り過ぎるものであり、その向こう側にはもっと快適な時期が待っています。
更年期前の期間は5年から10年続きます。
これは遺伝や卵巣、エストロゲンの健康状態によって個人差があります。
この時期はヴァータの乱れが特に出やすいので、日常のルーティンを守って神経系を安定させることが何より重要になってきます。
小さなアンカー
私がクライアントの皆さんにお勧めしているのは「小さなアンカー」という概念です。
1日中いろんな問題があっても、朝と晩だけはアンカーを下ろして落ち着ける時間を作るんです。
これがディナチャリア(日常のルーティン)の考え方で、特にオイルマッサージを取り入れることをお勧めしています。
自分で自分の体を触り、いたわることで深い自己愛が育まれます。
更年期の変化に対して「嫌だ」という気持ちが湧いてくるのは自然なことですが、だからこそ自分自身への愛情表現として、このセルフケアがとても重要になってくるのです。
講座では心理学とアーユルヴェーダを統合してお話ししていきます。
心理面に関しては複雑で個人差の大きい状況ですが、『持ちこたえて、あなたは必ず乗り越えられる』ということを、具体的な方法とともに学んでいただきたいです。
講座ではそのためのヒントとして「小さなアンカーの実践」や、個々の体質に合わせた心のケア方法について詳しくご紹介していきます。
一人で抱え込まず、同じような経験をしている女性たちと一緒に学び、支え合える場にしたいと思っています。