長く第一線で活躍しているSarahPowers先生。
世界で最も人気のあるヨガティーチャーの一人です。
陰ヨガの創設者のひとりとして知られる
SarahPowers先生が確立したInsightYoga(インサイトヨガ)。
中医学をベースとした陰&陽のアサナをブレンドした
魅力的なシークエンスそして仏教思想と瞑想によって
統合されたヨガスタイルです。
このインタビュー第一弾では
Sarah先生に陰ヨガへいたる経緯についてききました。(全5回)
インド仏教と哲学の違いがあるかと思いますが、そのあたりで葛藤があったりしましたか?
もちろんさまざまなアプローチが似ているところもあるし、違うところもあります。
それぞれ合体して内容が薄まるようなことはしたくないと思っていました。
本山博先生の教えがなければ、アーサナと中医学の部分を層にするとは思わなかったと思います。
本山先生の教えは本当に素晴らしいと思います。
先生のお宅にもお邪魔したこともありますし、私のカリフォルニアの自宅にいらっしゃったこともあり、非常に近い関係を築いていました。
彼はいろんなアプローチを重ね合わせるという考え方を示してくれたので、それを学んだ私は、他の人の助けにもなるのではないかと強く思いました。
どこかを治したいというのであれば、私は医者ではないので治療や診断したりすることはしませんし、必要であれば1対1で中医学や韓国や日本の医学の専門の方に診てもらうことは大事だと思っています。
私は診断することはできませんが、学んできたものや経験してきたものをシェアすることができます。
例えば慢性的な病を抱えている方や、精神的な面でも苦しみを抱えている方に、ヨガのプラクティスの中で腎臓にフォーカスしたシークエンスなどでエネルギーがもう少し活性化されるように、あるいはデトックスされるようなものを提供することができます。
仏教に関してですが、チベット仏教の中でもエネルギー体、呼吸、ビジュアリゼーション(視覚)にフォーカスしていき、自分の内側を統合していくようなアプローチが自然とヨガにフィットしていくのではないかと思います。
幸いなことにチベット仏教の素晴らしい先生に出会うことができ、その方を通じて非常に深い実践と体験をすることができました。
その過程の中で、まだ私ほど深い学びをしていない人でもわかりやすく体験できるアプローチとはどういったものかをその中から摘み取るようにしました。
マインドフルネスが非常に良いのは、私たちにはどういったマインドのパターンがあるのかというのを発見し、そこから選択できる道があるということです。それはオートパイロットのようにパターンにしたがって動くというより、自分で運転することができることがわかるということです。
ヨガを練習している多くの方にとって、心と体を繋ぐ効果的なツールだと思います。
多くの方は瞑想を実践しようとしたり、仏教センターに出向いたりすることはないかもしれませんが、陰ヨガは、静かに長くホールドをするポーズの中で瞑想を経験し、体と心を繋いでマインドをトレーニングし、また再教育していく上でぴったりだと思います。
アメリカにおけるチベット仏教の立ち位置を教えてください。
私自身は1990年代までチベット仏教との出会いはありませんでした。
当時はサンフランシスコに住んでいて、あらゆる流派の仏教、お寺がありました。
スピリットロックというセンターがあったのですが、ヨガワークスがヨガの中で世界中の先生を呼んできたように、ここもそういった場所でした。
そこでは、西洋の先生でしたが、禅仏教やチベット仏教に影響を受けた方々と出会いました。
先生方は学びを深めるため、あらゆる所へ巡礼やリトリートに行っていました。
それを聞いた私も同じように体験したくて、ビルマに行ったり2人のチベット仏教の先生についたりリトリートに参加しました。
禅の仏教に進むならこういう道、チベット仏教ではこういう道と、色々見えてきたのでそれぞれ体験しようと思ったのです。
ヨガで言うならば、アイアンガーを学ぶならこういう道、アシュタンガならこうというように、色んな流派のやり方があるということを体験できました。
ヨガでの経験と似ているのですが、仏教でも色んな流派の学びを受け取り、リトリートに行くことによって特定の宗派、例えば禅仏教、チベット仏教などについて教えとしては受け取れていましたが、それをベースとして実際に自分との心の向き合い方や内側からの広がりといったものを経験することができるようになっていきました。
ですので一つの仏教の道に進まなければという思いは無くなりました。
科学的な心理療法と、伝統的なアプローチ、相反するもので混乱するようなことはなかったのですか?
仏教というのは、あらゆるバックグラウンドを持っていることや、男女も関係なく人々のマインド、パターンを正常化します。
仏教の中でも男尊女卑といった問題もありますし、権力のあるグループや伝統的な問題はあります。
根底にあるものは心理学的であり、複雑ということはないということです。例えばマインドフルネスのベーシックなものは、とてもシンプルなので子供にも教えることができます。
哲学的な部分であってもアプローチしやすところがあります。
私たちの体があるということを忘れてしまうと、急に抽象的な考え方や、理想化してしまい、一部の人にしか分からない複雑なものに捉えてしまいます。
同じように心理学でもセラピーをする際、体のソマティックな部分があります。そこから離れて忘れてしまうと体と心が乖離してしまい、自分と繋がることができずに、自分に対する思いやりが感じられなくなってしまいます。
ヨガでも同じで、本来の学びはパフォーマンスをすることや体を見せること、魅力的にすることではなく、意図的に自分の体と向き合いながら内側に意識をフォーカスしていくということです。
それぞれに影の部分があり、そのアプローチを学ぶことで他のアプローチの影の部分が見えて向き合っていくことができると感じています。
それぞれのアプローチがどの様に異なるかというように捉えることもできますが、互いにどの様に作用し合うか、フィットするのかと捉えることもできます。
その中で私はどの様に相互作用し合うかにフォーカスしてきました。