最近ではヨガニドラをNSDR(Non-Sleep Deep rest眠らずに深いリラクゼーションをとる)といった、リラクゼーションと同一視する情報が見られます。

この傾向に関しての私の考えです。

1つはトレンド(流行り)という言葉は英語で書くと「TREND」で最後の3つのアルファベットに「END」が入ります。

これは流行りというのは必ず終わるもの。

終わりが含まれるということです。

ヨガには終わりはありません。

トレンドではないということです。

時空を超えて時間とは関係なく存在しているものです。

2つ目は
抽象的なことを捉えようとすると、わかりやすいようにしたいという意識が働きます。

それ自体は良いのですが
問題は道具として正しい知識を深めるためのものではなく
道具自体が正しい知識であるとすり替わってしまうことです。

あまりにも分かりやすいものに凝縮してしまい、
それ自体が正しいと捉えると薄まった内容になってしまいます。

還元主義になることは問題だと思います。

アーサナのことを、身体を揺らさずに深いストレッチに入るとは言いませんよね。

アーサナを実践・経験された方は、アーサナがただの深いストレッチではないということは感じていらっしゃると思います。

NSDRのテクニックはヨガニドラではありません。

更に加えると催眠術でもありません。

また明晰夢でもなく、シャヴァーサナでもなく、瞑想でもありません。

睡眠を深めるための道具や、睡眠障害を解決する道具でもありません。

休息を取ること自体が問題なのではありません。

NSDRのゴールは休息です。

ヨガニドラの第一ステップとして休息がありますが、あくまで準備の段階であり、ゴールではありません。

ヨガニドラをすることで深いリラクゼーションを味わったり、心の平安や、感情的なバランスが取れたりすることがありますが、ゴールではなくヨガニドラの副産物です。

ヨガニドラの1番の効果と目的は自分自身に辿り着くことができるということです。

自分自身というのは身体のある私というのではなく、真我、源のことです。

ヨガニドラの約束というのはヨガという状態になり、真我が見えてくるとういことです。

ヨガニドラを混乱し、間違えて使ったとしてもヨガニドラがすり減ってしまうわけではありません。

ヨガニドラのニドラは深い睡眠という意味です。

これは夢のない睡眠です。

深い眠りに入った時は無意識です。

頭がどっちにあるかなどわかりません。

起きた時に初めて
「あぁ、すっきりしたな」
「エネルギッシュになった」
と振り返って深い良い睡眠を取れたといえますが、
深い睡眠の状態の時に「私は今深い睡眠にある」とは言えません。

深い眠りの状態にあるというのは、受動的なサマーディの状態にあると言ってもいいと思います。

全ての隔たりがない状態になります。

ヨガニドラの状態は深い睡眠へ意識を持ちながら入っていきます。

そしてその意識はあり続けます。

受動的なサマーディの状態にあったところから、アクティブなサマーディへと移っていくのです。

つづく